平安時代になると仮名文字が生まれますがその前、奈良時代のことです。まだ漢字ばかりが文字として使われていた時代ですが、それだとあまりに不便だということで意味をガン無視してただただ読みだけで50音の漢字を並べて表したもの、それが万葉仮名です。別名は真仮名(まがな)ともいいます。
音仮名と訓仮名ができあがり、それが後の時代のひらがな・カタカナに繋がっていきます。なお仮名文字はこの万葉仮名を草書体にして、それをさらに簡単にしたらひらがな、一部を切り取って記号化したらカタカナですね。
ところでこの万葉仮名ですが注目すべき点があります。
古代の日本では「はひふへほ」の発音がなかったとされています。もともと「ぱぴぷぺぽ」と発音されていたのが中世頃になると「ふぁふぃふふぇふぉ」の発音に変わっていき、室町時代頃くらいになって「はひふへほ」になっていったといいます。「はひふへほ」の発音は海外の影響を受けてのものらしいですね。
たしかこれは・・・誰でしたっけ、ちょっと名前が出てこないのですが東大の昔の言語学者がP音考とかP論とかって発音の発生から発声を辿っていったという論なのですが、現在ではかなりその説が支持されています。
もしその説が正しいとすれば、万葉仮名で「八(波)比不部保」って書かれている部分は現在の発音だと「はひふへほ」ですが、そう書いて奈良時代の人は「ぱぴぷぺぽ」って読んでいたはずです。
でも50音を万葉仮名で示していたわけですから、奈良時代当時の人々も「ぱぴぷぺぽ」が「あいうえお」の各段に起因する派生の発音だということは認識していたということになります。
これ、すごくないですか?
現代人はアルファベットや発音記号を知っていますから視覚的に発音を分類できます。また現代人は西洋の発音も取り入れて子音と母音で正確に50音を表しています。が、そういうのがなかった時代に50音を正確に体系化したわけですよ。
感覚的に子音と母音の存在をわかっていたということになります。さらにはそれを外国の発音が日本に入ってくる前、古代の日本語の発音でこなしてしまっていたわけです。
万葉仮名は誰が作ったのか定かではありませんが、天才です。
現代の言語はこういったかつての言葉が土台になって進化してきたわけです。先人たちに感謝しなければなりませんね。