現役塾講師の教育さまざまブログ

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竹取物語の「さぬきのみやつこ」の謎

竹取物語、日本最古のSF小説です。物語文としても日本最古です。話の舞台は奈良時代初期だというのが通説となっていますが平安貴族への風刺も含まれているため時代設定はごちゃ混ぜ、作者は不明。書かれたのはおそらく平安時代初期。中1で必ず習う古文の単元にもなっています。絵本だと「かぐや姫」の名前で有名ですね。もしかすると学校の授業で序盤の文章を暗唱させられたという人も多いのではないでしょうか。

そんな誰もが知る古典なわけですが、登場人物のおじいさん「さぬきのみやつこ」とは何者なのでしょうか。

 

たまにさぬきのみやつこを「本名」と紹介している文献がありますが、半分正解で半分正しくありません。「さぬき」は「讃岐」つまり地名、そして「みやつこ」は「造」と書きますが、元は「宮ッ子」、宮廷に勤める使用人という意味です。

ですから地名と役職名なんですよねあれ。でもそれを登場人物の名前として使っている設定ですので、いちおうそういう名前として解釈して良いことになります。本名と言ってしまうのはちょっと微妙です。本名は本当は別にあるけれども通称として「さぬきのみやつこ」としてみんなからそう呼ばれている、というのが本来の正しい解釈です。

 

ところで、「讃岐」は現在の香川県です。讃岐にも大和王権の時代に宮廷はありましたが、竹取物語では都が出てきます。詳しい地名はわかりませんが、四国地方にそれほど大きい都があったとは思えません。かぐや姫の噂が都で広まって、日本中から男がやってくるくだりがありますよね。帝からも求婚されていますから、それで四国地方というのはちょっと考えにくいです。富士山も出てきますからたぶん本州での話のはずです。

実は「さぬき」は誤読という説があり、本当は「さかき」なのではないかという研究が存在しています。

「さかき」は「榊」を指しており、竹細工などを職としており神宮に勤めていたのではないかという研究です。「さかきのみやつこまろ」とされている研究もあり、それならば宮廷に使えている身分なのも納得、となります。

ただ、この説は古文の学者からは絶賛の支持なのですが歴史学者からはめちゃくちゃ嫌われているようです。なんでかわかりませんけれど、けっこう日本史の学者って保守的な思想の方々が多いです。ですから教科書で聖徳太子が厩戸王だとなったときもだいぶ騒いでいました。

 

なお「竹取物語」は時代によってタイトルも変貌しています。平安時代には「竹取の翁」、鎌倉時代には「竹取」、室町時代には「竹取翁」と呼ばれていたそうです。

タイトル的にはかぐや姫が主人公ではなく翁が主人公格です。

 

とまぁいろんな説が存在してはいるものの、原本は存在していません。現在のところ室町時代に残っている文献が最古とされており、和歌などの知識を持つ者が書いたということから貴族階級以上の人が作者なのではとされています。書かれたのは平安時代ですけれども、伝承自体はさらに古い可能性もあるんですって。

今後原本が見つかることはあるのでしょうか。たぶんない気がしますが。謎の多い物語、それが竹取物語です。