今は働き方改革などが言われていますので会社側もコンプライアンスを遵守していますが、でもやっぱり過労ってまだまだ多くあります。
そういうのがまだなかった時代、もう十何年も前のことになりますが、私もかつて極度の過労になってしまったことがあります。
異変を感じたのは小3の国語の授業をしていたときでした。その回では登場人物がたくさん出てくる物語文の読解を行う授業でした。
まずは物語文の読解の仕方を解説し、次に自分で問題を解いてもらって、そのあと物語の概要から問題の考え方を解説し、最後に答え合わせをしながらなぜその解答になるのか解説する、そんな段取りでした。
序盤は普通に授業をこなし、登場人物の相関図とそれぞれの心情をホワイトボードにまとめ・・・ている最中。
普段だったら一目見ただけで物語の内容も登場人物それぞれの特徴も頭の中に入っているのでそのままホワイトボードにまとめられるのですが、なぜか内容が出てこない。ましてや小3の内容ですから普段だったらまとめられないなんて絶対にあり得ません。
テキストとホワイトボードを何度か交互に見返しながら、やっとのことでまとめ上げたのですが、生徒に指摘されて2~3ヶの誤字が見つかる。脂汗。
それらを直してあらためてホワイトボードを教室の後ろから眺めていると、
「あれ?こんな登場人物いたっけ?っていうか、これ本当に私が書いたんだっけ?なんだこれ?」
恐怖です。直前の出来事が記憶の中からすべて消し飛んでいました。
こういったことが断続的に起こるようになりました。
その頃はまだ若かったですから、休日もなしにゼミやセミナー、土日のイベントまで働きずくめの毎日でした。
誤魔化し誤魔化し授業をする日々が続くことになります。
次の恐怖は自宅で起きました。
風呂のお湯に浸かっていると、左半身が冷たい。というか、感覚がない。軽い麻痺が起きていました。
それも日に日に悪化していき、とうとう立ち上がるのもやっとになる状態に。
毎日栄養ドリンクと強いコーヒーを飲んでしのぐ。
左手は小指と薬指の感覚がなくて自分の意思では指を曲げられないほどになっていました。
たぶんこの頃はもう、寝不足と過労によって脳のシグナルが著しくおかしくなっていたんだろうと思います。
そのまま働いていたらどうなっていたのだろうと今でもよく思います。
思いがけず、あの日がやってきます。
2011年3月11日、東日本大震災です。
私の塾の地域でも大きな揺れがあり、そのため安全確認がとれるまでは建物は出入り禁止に。
結果、壁と天井に複数の亀裂が見つかり、その修復工事のため1ヶ月強ほど臨時閉塾の状態が続きました。当然職員も出勤停止に。
こんなことを書くと不謹慎だと反感を買いそうですが、私にとっては十分な休息をとる偶然の産物となりました。
約1ヶ月、眠り狂って、起きたら食べて、また眠る、そうしているうちにしだいに回復。だんだん体も動かせるようになり、左半身の麻痺も消えて、ウォーキングで体力も無事元通り。
いや本当は元通りではなくそこからまだ2年くらいは断続的に体と脳の思考に違和感を感じながら仕事を続けることにはなるのですが、病院など行かずに回復できたのはほとんど奇跡だったように思います。
今でもたまに疲れすぎると脳の思考の違和感はあるんですけれどもね。
私の場合は回復の機会が思いがけないタイミングでやってきたのでどうにかなりましたが、そうならず過労死という方も世の中にはたくさんいます。
ワーク・ライフ・バランスという言葉がありますが、「ワーク・ライフ・ヘルス・バランス」という言葉を私は提唱します。
やっぱり健康を害したら何にもならないんですよ。仕事も家庭も絶対にうまくいきません。
その調和が大切だと思います。
塾講師もなかなか体力・精神力ともにヤバい職業ではありますが、もっともっとそういうのを削られる職業の方もいると思います。本当に尊敬します。
体は資本とよく言いますが、本当にその通りだと思います。
ワーク・ライフ・ヘルス・バランス、考えましょう。